世界的に見て日本が競争力のある分野(業界)・商品について考える

米欧、そして中国の台頭により、世界に対する日本の影響力は低下しておりますが、今なお世界的に見て日本が競争力を持っている分野・商品はいくつかあると思います。ここでは今後の考察のため、備忘録的にそれらを列挙してみたいと思います。

何をもって”競争力を持っている”と判断するかは、基準がいくつかあるかと思いますが、
ここでは、以下のどちらかを満たしているものを考えていくこととします。

■グローバルに展開し、その地で高いシェア(売上・利益・販売等)を獲得している商品・ブランド・IP(Intellectual Property: 知的財産)を有している
■特筆すべき技術・IP・特徴等を保持しており、独占的な地位を築いている


列挙する順番は、現在の日本を考えたうえで重要度が高いと思われる順に並べています。


最終更新 2021年02月24日
全体的に記事内容を変更




1.自動車
・Keyword
トヨタ ホンダ 日産 MAZDA SUBARU スズキ 三菱自動車 ダイハツ 日野自動車

まずは、自動車をあげさせて頂きました。日本にはグローバル展開しているメーカーが複数あり、品質の高さから「日本車」はグローバルで一定の販売台数シェアを獲得しており競争力を保っています。特に、地元の自動車メーカーが多数あり売上台数も多いアメリカで35~40%、世界一の市場で激戦区の中国でも15%程度の販売シェアを獲得しているのは特筆すべき点です。

自動車は、部品点数の多さ故に産業の裾野が広く就業人口も多いため、多くの工業国が「基幹産業」として力を入れている商品ですので当然競争は激しいです。また今後はガソリン車・ディーゼル車から、環境負荷が少ないと言われている電動車(EV・燃料電池車・ハイブリッド車)への移行がより強くなることが予想されるため、日本メーカーは得意のハイブリッドで現状を維持できるのか、またテスラや中国のメーカーの後塵を拝してジリジリと競争力を逸していくのか注目されています。


2. コンシューマーゲーム
・Keyword
SONY SIE(Sony Interactive Entertainment) 任天堂 PlayStation Nintendo Switch

2番目に挙げたのは、コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)です。コンシューマーゲームはグローバルにみると、SONY(SIE)・任天堂・米Microsoftの3社が独占しており、ソフト制作会社(サードパティー)の開発体制・予算の関係上、他の第4・第5のメーカーが新たに参入するのは難しいと言われています。その中でゲームという若い世代に人気があり、売上規模も大きな市場の中で、3社のうち2社が日本企業という状態は特筆すべき点です。主に青年・成人向けのコアなゲーム層をメインターゲットとしているPlayStationと、比較的低年齢でライト層をターゲットとしている任天堂Switchtという形で日本企業の中でも棲み分けが出来ているのもプラスの要素だと考えます。

ただ数年前までは、スマホゲームの台頭や高性能PCによるVRによってコンシューマーゲームは廃れていくのではない危惧されていましたが、PS4そしてNintendo Switchの発売以来は、そういう声も聞かれなくなりました。現在は、PS5も発売され(供給体制に多少難がありますが)品切れを起こすほど人気となっておりますし、Switchも発売から数年たちますが未だに売上好調を維持しています。また、デジタル配信やサブスクリプション形式のサービスといった利幅の大きな事業も年々成長しており、各社の利益を底上げしています。

今後も、日本=ゲームが盛んな国というイメージを維持するためにも両社には大いなる期待をしております。欲を言えば、ソフトメーカーにはもう少し存在感のある商品を開発して欲しいところです。


3. デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラ
・Keyword
キヤノン ニコン Panasonic  SONY PENTAX

一定の売上規模のある商品でこれほど日本企業の製品がシェアを獲得している商品は少ないのではないでしょうか?Canon・Nikon・SONYと書かれたカメラのネックストラップは、国内外問わず観光地に行けば必ず見かけますし、逆に海外製のデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラを持っている人を私は見たことがありません。

デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼は造りが非常に繊細で、イメージセンサーや内部構造は専門性が高い為参入障壁が非常に高くなっています。また、レンズの互換性・資産性等も考慮すると他社が参入するのは非常に難しくなっており、現在の状況は日本企業による「こだわり・追求姿勢」「国内企業同士による苛烈な競争」が良い方向に進んだ結果だと考えています(嗜好性が強い商品ですので、良いものには金額を惜しまない層が多くいるのが重要かと思います)。

現状、市場規模は縮小傾向にありますが、他国企業に付け入る隙を与えないよう改良は続けてほしいと思っています。


4. 自動2輪(バイク)
・KeyWord
HONDA・YAMAHA・SUZUKI・KAWASAKI

自動2輪は、上記4社がグローバルで一定のシェアを獲得していますが、特に販売台数の多い東南アジアではその割合が非常に大きくなっています。特に、日本の製品は嗜好性の強い大型で高級なものよりも、どちらかというと普段の足として使用される小型で安価なものが強くなっています。

バイクは、自動車と違い、一見どの国・メーカーでも作れそうなイメージがありますが、大量に生産する技術や、長年の販売に伴う信頼性やブランドの浸透などを考慮すると、新興メーカーがグローバルでシェアを獲得していくのは難しいのかもしれません。

しかしながら、自動2輪にも電動化の波が来ており、販売ボリュームのある東南アジアで現状を維持できるのか気になるところです。


■5. 半導体製造装置
代表する日本企業
東京エレクトロン(TEL) スクリーン アドバンテスト 日立ハイテクノロジーズ 荏原製作所

VLSI.jpg
出典:VLSI Research

半導体(集積回路)を製造するときに使用される機械を製造・販売している会社になります。2010年中盤以降、高性能なスマホの販売増加やデータセンター需要の高まり、PCの記憶装置のSSD化、AI・自動運転技術の発展等により半導体の需要が高まっており、それに伴い半導体を製造する半導体製造装置業界も沸いています。伝統的に米国・日本の企業が強い業界でもあります。

一口に半導体製造装置といっても何種類かあり、露光装置・ドライエッチング・洗浄/乾燥・ウエハ検査装置・プラズマCVD・スパッタリング・コータ/デベロッパ・CMP等があります。この中でも洗浄./乾燥機器やコータ/デベロッパ機器に関しては日本企業のシェアが高いのが特徴です。売上高の大きい露光装置やドライエッチングも日本企業のシェアが高い時期もありましたが、現在は米アプライドマテリアルズや米ラムリサーチにシェアを奪われています。


■6. 電子部品
代表する日本企業
村田製作所 日本電産 京セラ TDK 日東電工 アルプス電気

昨今の生活に欠かすことのできない電子機器を構成しているのが電子部品ですが、車載向けやスマホ関連での日本企業の存在感はいまだ大きいものがあります。白物家電やPC向け(いわゆる汎用品)には、韓中台といった東アジアの企業の電子部品が多く使用されていますが、実績・信頼や高い技術力が求められる車載・スマホ向けでは日本企業の商品が多く選ばれています。

電子部品は、電子機器に数百~数千個単位で組み込まれていますので単価が非常安いのが特徴ですが、車載・スマホ向けは通常の汎用品に比べ単価が非常に高いので、金額的にみると日本企業のシェアは高くなっています。日本には多くの電機メーカーや自動車メーカーがあるので、国内での売り上げもそこそこ見込めるのも、事業を継続するうえで大きいですね。




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■工作機械
代表する日本企業
ファナック キーエンス 安川電機

アイボ・アシモ=ロボット=日本というイメージが一時期ありましたが、現在はもっぱらこの工作機械(機器)メーカーの頑張りが日本=ロボットというイメージを維持・形成している気がします。最近は、自動車やスマホ関連に伴い、中国・韓国・台湾等の東アジアへの輸出が増えているようです。

■ 自動車用タイヤ
代表する日本企業
ブリジストン 横浜タイヤ 東洋タイヤ

世界的にはミシュラン・グッドイヤー・ピレリ等多くの有名海外メーカーがありますが、ブリジストンは世界販売のシェアがNo.1です。横浜タイヤ、東洋タイヤも競争力のある日本メーカーです。

■たばこ
代表する日本企業
JT

巧みなM&Aで、JTは日本という限られた地域での専売公社から、世界で5本の指に入るワールドプレイヤーになりました。日本では葉巻たばこは斜陽商品のイメージがありますが、海外特に新興国では根強い人気・需要があり、市場が拡大している地域も数多くあります。比較的小さな国の地場メーカーも積極的にM&Aでシェアを獲得しています。特にロシアは、市場規模3位ですが、JTはトップシェアを獲得しています。今後は、国内での新方式タイプのたばこがどれぐらい巻き返せるか、そして海外では買収した企業のたばこブランドをどこまで伸ばしていけるかが、今後もJTが一流のワールドプレイヤーで居られるかどうかの分かれ目になりそうです。

■放送機器
代表する日本企業
SONY

TV番組の作成やスポーツ中継する際に欠かせない放送機器はSONYの独壇場のようです。世界中の放送業界の人はSONYの放送機器を使用して番組を作成しています。

■フォークリフト
代表する日本企業
豊田自動織機 ニチユ三菱フォークリフト+ユニキャリア コマツ

フォークリフトも世界的に見て日本企業の競争力が高い商品です。よくTOYOTAの文字が入ったフォークリフトは見かけるような気がします。

■建設機械
代表する日本企業
コマツ 日立建機 コベルコ建機

建設機械といえば、米キャタピラかコマツのイメージが強いですが、日立建機・コベルコ建機も一定のシェアを獲得しており、建設機械の日本企業のシェアは高く、競争力を保っています。

■時計
代表する日本企業
SEIKO CITIZEN CASIO

ブランド力は海外の企業に劣りますが、質の良い中級品(数万円~数十万円)には日本メーカーの時計は定評があります。GショックブランドのCASIOは個人的にも愛用しています。

■アパレル
代表する日本企業
ファーストリテイリング(ユニクロ)

有名なアパレルブランドがなかった日本に強力なブランドを確立したファーストリテイリングには脱帽します。現在ファーストリテイリングは海外での売上げも増やしており、売上世界ベスト10に入るほどになっています。





【競争力のない分野】

製薬
武田薬品工業によるシャイアー買収(約7兆円弱)のニュースが記憶に新しいですが、世界で見ると日本の製薬会社の規模・競争力は低いです

保険

小売り

高級ブランド

  
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